• 01訴状の各欄(当事者・請求の趣旨・請求の原因・証拠番号・署名・印紙・切手)はすべて裁判所が機械的にチェックするため、漏れなく正確に埋める。
  • 02収入印紙の不足や署名欠けは即座に補正命令になるため、提出前にチェックリストで自前確認する。
  • 03訴訟前に内容証明で催告しておくと、証拠にもなり相手が任意払いする可能性も高まる。
貸したお金の請求書 書き方|裁判所が求める項目と記入のポイント

返ってこない貸付金、まずは書面で請求する

知人から「来月必ず返す」と言われて 30 万円を貸したが、約束の日を過ぎても連絡が取れない。LINE で催促しても既読スルーが続く。こうしたとき、口頭やチャットだけでなく、裁判所に提出する形式の「訴状(請求書)」を作って相手に送達させるのが、法的手続きの第一歩になる。

なぜ「訴状」の形で書くのか

簡易裁判所の少額訴訟(訴額 60 万円以下)や通常の民事事件(訴額 140 万円以下)では、原告が自分で訴状を作って提出できる。裁判所はこの書面だけで「誰が、誰に、いくら、なぜ請求するのか」を判断するため、欄ごとの記載ルールが厳格だ。不備があると補正命令が出て、受理まで日数がかかる。

裁判所が見る 7 つの必須欄

訴状の様式は裁判所サイトで配布されているが、中身は民事訴訟規則第 53 条に定められた事項で構成される。以下の順番で埋めていく。

1. 当事者目録(原告・被告の特定)

原告(あなた)と被告(相手)の氏名、住所、電話番号を正確に書く。住所は住民票どおりの表記にし、マンション名・部屋番号まで省略しない。被告の住所が不明なら、戸籍附票や住民票の写しで調べるか、後で「送達不能」にならないよう勤務先宛てなども検討する。

2. 請求の趣旨(結論の一文)

「被告は原告に金 300,000 円及びこれに対する令和 6 年 10 月 1 日から支払済みまで年 3 % の割合による金員を支払え」のように、求める金額と遅延損害金の起算日・利率を一行で書く。金額はカンマ区切りで、円単位まで明記する。

3. 請求の原因(事実の経過)

貸し付けの経緯を時系列で箇条書きする。

  1. 令和 6 年 9 月 1 日、原告は被告に現金 300,000 円を手渡した。
  2. 同日、被告は「令和 6 年 10 月 1 日までに返す」と約束した。
  3. 期日を過ぎても返済がないため、令和 6 年 10 月 5 日付け内容証明郵便で催告したが支払われない。

日付・金額・やり取りの手段(現金・振込・アプリ)を具体的に書く。

4. 証拠書類の番号と添付書類目録

上記の事実を裏付ける書類(借用書、振込明細、LINE のスクリーンショット、内容証明の控えなど)に 1 番から通し番号を振し、「添付書類目録」に番号・名称・枚数を一覧する。訴状本文で「甲第 1 号証」のように引用できるようにする。

5. 署名・押印

訴状の末尾に自筆で署名し、認印を押す。代理人弁護士がいない場合は原告本人の署名が必須。印鑑証明書は不要だが、後で本人確認を求められることがある。

6. 収入印紙(手数料)

訴額に応じた収入印紙を訴状の左上に貼る。30 万円なら 3,000 円分。金額が足りないと受理されず、不足分を補正するまで手続きが止まる。最寄りの郵便局や法務局で購入できる。

7. 予納郵便切手(送達用)

裁判所が被告へ訴状を送達するための切手を同封する。額面は管轄の簡易裁判所ごとに異なるため、事前に電話やサイトで「予納郵便切手の内訳」を確認して用意する。

提出前に確認するチェックリスト

  1. 当事者の氏名・住所が住民票どおりか
  2. 請求の趣旨に金額・利率・起算日が抜けていないか
  3. 請求の原因が時系列で具体的か
  4. 証拠書類の番号が本文の引用と一致しているか
  5. 署名・押印は自筆か
  6. 収入印紙の額面は訴額に合っているか
  7. 予納郵便切手は裁判所指定の内訳か
  8. 訴状の写し(被告分+裁判所分)を用意しているか
  9. A4・余白 2.5 cm・12 ポイント・1.5 行間で印刷しているか

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よくある質問

借用書がない現金貸し付けでも訴状は出せますか?

出せます。振込記録がなくても、LINE のやり取りや目撃者の陳述書、返済催促の内容証明控えなどを証拠として添付すれば、事実関係を立証できます。

被告の現住所がわからないときはどうすればいいですか?

戸籍附票や住民票の写しを請求して特定するか、勤務先宛ての送達を裁判所に申し立てます。住所不明のまま提出すると送達不能で手続きが止まります。

遅延損害金の利率はどう決めればいいですか?

民法所定の年 3 %(法定利率)を使うのが一般的です。契約時に特約があればその利率を、なければ法定利率で請求の趣旨に記載します。

訴状を出した後、相手が支払ってきたらどうなりますか?

原告が「訴えの取り下げ」を裁判所に届け出れば手続きは終了します。取り下げ後は同じ請求で再度訴えることは原則としてできません。

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