- 01訴状・添付書類・印紙・切手を揃えて管轄の簡易裁判所へ提出する
- 02被告の住所特定と送達可能性を事前に確認し、当事者目録を正確に作る
- 03少額訴訟は原則1回の期日で終結するため、証拠と主張を漏れなく準備する
トラブルの火種:メルカリでのやり取りから請求へ
メルカリで未使用のブランド品を出品し、購入者から「支払い完了」の通知が来たものの、実際には入金が確認できない。メッセージを送っても既読にならず、プロフィールも削除されている。こうした事態に直面した出品者が、少額訴訟で返金(代金回収)を目指す最初の一歩を記録します。
証拠の整理:見逃せない文書と時系列
裁判所に提出する添付書類は、事実の経過を裏付けるものでなければなりません。以下の書類を時系列順に整理し、通し番号を振って添付書類目録を作ります。
-
- メルカリ取引画面のスクリーンショット(商品説明、購入者情報、支払い状況)
-
- 発送通知・追跡番号の記録(匿名配送の場合はQRコードや受領印)
-
- 購入者への催促メッセージ履歴(日時が分かる形で)
-
- 運営への問い合わせ履歴と返信
-
- 銀行口座の入出金明細(入金がないことを示す期間分)
これらをA4用紙に印刷し、余白2.5cm、12ポイント、1.5行間で揃えます。番号の不一致は補正命令の対象になるため、目録と実物の順序を必ず合わせてください。
訴状の骨組み:最低限書くべき3つの要素
訴状には民事訴訟規則第53条に基づき、以下の項目を漏れなく記入します。
- 当事者目録:原告(あなた)と被告(購入者)の氏名、住所、連絡先。被告の住所が不明なら、メルカリの登録住所や発送先住所を記載し、特定不能なら補正を求められます。
- 請求の趣旨:「被告は原告に金○○円を支払え」と、求める金額を具体的に書きます。商品代金に送料や手数料を加算する場合は内訳を明記。
- 請求の原因・事実の経過:契約成立から発送、入金なし、催促、運営対応までを時系列で簡潔に。感情的な表現は避け、事実のみを箇条書き風に並べます。
署名欄には自筆で署名し、印鑑を押印します。署名がない書面は受理されません。
収入印紙と切手:提出に必要な手数料と準備物
訴額に応じた収入印紙を訴状に貼ります。60万円以下の少額訴訟なら、訴額10万円まで1,000円、20万円まで2,000円、以降10万円ごとに1,000円ずつ加算されます(民事訴訟費用法)。正確な額は裁判所の案内で確認してください。
予納郵便切手も同封します。切手の種類と金額は管轄の簡易裁判所ごとに異なるため、事前に電話やウェブサイトで確認し、不足のないよう用意します。不足があれば補正命令が出て、納付まで受理されません。
裁判所への提出と送達:期日までの流れ
訴状1通、被告人数分の写し、裁判所用1通を揃え、管轄の簡易裁判所へ持参または郵送で提出します。管轄は被告の住所地を管轄する簡易裁判所です(裁判所法第33条)。訴額が140万円を超える場合は地方裁判所になりますが、今回は60万円以下なので少額訴訟が利用できます。
受理されると事件番号が付与され、第1回期日が指定されます。少額訴訟は原則1回の期日で審理が終結します(民事訴訟法第368条・第375条)。被告への訴状送達は裁判所が行いますが、住所不備で送達不能になると手続が止まるため、当事者目録の住所は正確に。
少額訴訟の当日:1回の期日で終わる審理の様子
期日には原告・被告双方が出頭し、裁判官の前で主張を述べます。証拠書類は事前に提出済みなら、当日は補充説明に留めます。被告が欠席なら原告の主張通りの判決が出る可能性があります(擬制自白)。和解勧告があれば、分割払いなど現実的な解決を検討することもできます。判決や和解調書が得られれば、強制執行の債務名義になります。
却下を防ぐための補正チェックリスト
提出前に以下を確認し、補正命令で時間をロスしないようにします。
- 収入印紙の額は訴額に合っているか
- 訴状に自筆署名と押印があるか
- 当事者目録の氏名・住所に漏れ・誤りがないか
- 請求の趣旨が「金○○円を支払え」と具体的か
- 管轄裁判所は被告住所地の簡易裁判所か
- 添付書類の番号と目録の番号が一致しているか
- 予納郵便切手は裁判所指定の種類・金額か
ルールは改正されることがあり、実際の運用は窓口や裁判所ウェブサイトの最新案内が優先されます。
関連記事
提出前に書式を確認する
お住まいの地域の裁判所が求めるものと、準備済みパッケージの内容を確認できます。
よくある質問
メルカリの相手の本名・住所が分からない場合どうすればいいですか
取引画面や発送先住所、運営への開示請求で特定を試みます。それでも不明なら住所地管轄が立てられず、訴えられない可能性があります。
少額訴訟の手数料はいくらですか
訴額10万円まで1,000円、20万円まで2,000円、以降10万円ごとに1,000円ずつ加算されます。正確な額は裁判所で確認してください。
被告が裁判所に来なかったらどうなりますか
被告が欠席しても審理は行われ、原告の主張を認める判決が出ることがあります(擬制自白)。ただし、後から異議を申し立てられる余地があります。
判決が出たらすぐにお金が戻りますか
判決確定後、相手が任意に支払わなければ強制執行の手続きが必要です。預金債権や給与債権の差押えには別途申立てと費用がかかります。
公式情報
- 民事訴訟法 (Civil Procedure Act), articles 133, 368 and 375 2026-10-19
- 民事訴訟規則 (Civil Procedure Rules), article 53 (particulars of a complaint) 2026-10-19
- 裁判所法 (Court Act), articles 33 and 74 (language used in court) 2026-10-19
- 民事訴訟費用法 (Civil Procedure Costs Act): revenue stamps and prepaid postage stamps 2026-10-19
裁判所の手続きに関する一般的な情報です。法的助言ではなく、弁護士と依頼者の関係を生じるものではありません。規則は変わります。提出前に裁判所の最新の案内を確認してください。