- 01訴額に応じた収入印紙と管轄裁判所指定の予納切手を用意しないと受理されない
- 02訴状・当事者目録・添付書類目録・証拠書類を番号を揃えてセットにする
- 03勝訴しても相手に資力がなければ強制執行の別費用と手間がかかる
年末に差し掛かる請求書の山
フリーランスのデザイナーAさんは、10月締めの請求書を発行したまま11月半ばになっても入金がない取引先が二社ある。合計で48万円。年末調整の書類を揃える時期でもあり、さっさと回収して帳尻を合わせたい。弁護士に依頼するほどの額ではないし、内容証明郵便を出しても無視されそうな相手だ。
そこで簡易裁判所の少額訴訟を検索し始めたが、サイトによって「印紙代がいくら」「切手が何枚」と書かれていて、合計いくら持ち出しになるのかが見えてこない。
訴額ごとの手数料(収入印紙)の目安
簡易裁判所へ訴状を出すとき、訴状に貼る収入印紙の額は訴額(請求する金額)で決まる。民事訴訟費用法の別表第1に従う。
| 訴額(請求金額) | 収入印紙の額 |
|---|---|
| 10万円以下 | 1,000円 |
| 10万円超〜20万円以下 | 2,000円 |
| 20万円超〜50万円以下 | 5,000円 |
| 50万円超〜100万円以下 | 10,000円 |
| 100万円超〜200万円以下 | 20,000円 |
Aさんのケース(48万円)なら5,000円の印紙が必要だ。印紙は郵便局や法務局、コンビニエンスストアの一部で買える。訴状の左上に貼り、消印は裁判所が押すため自分で押さない。
予納郵便切手の額は裁判所ごとに異なる
印紙のほかに「予納郵便切手」を裁判所に預ける。これは被告への送達や期日呼出しに使う切手代だ。額は管轄の簡易裁判所ごとに決まっており、裁判所のウェブサイトや窓口の案内で確認する。
目安として、被告1名あたり3,000円〜5,000円程度を見込んでおくのが無難だ。複数の被告がいる場合は人数分かかる。切手は普通切手の組み合わせで指定額になるよう用意し、封筒に入れて提出する。
訴状セットを揃えるチェックリスト
提出前に以下を順に確認すると、窓口で「不備があるので補正してください」と返されるリスクを減らせる。
- 訴状原本1通(自筆署名あり)
- 訴状の写し:被告の人数分+裁判所保管用1通
- 収入印紙を訴状原本に貼付済み
- 予納郵便切手を封筒に入れて同封
- 当事者目録(原告・被告の氏名・住所・電話番号)
- 添付書類目録(証拠書類に通し番号を振って一覧化)
- 証拠書類の原本または写し(請求書、契約書、納品書、メール履歴など)
- A4用紙・余白2.5cm・12ポイント・1.5行間・段落番号は1.から通し番号
よくある却下・補正理由と対策
裁判所の事務処理ガイドラインでは、次の不備が多いとされている。
- 印紙額が足りない → 訴額に対応する額を再確認し、不足分を追加貼付
- 署名がない → 訴状末尾に自筆で署名(印鑑は不要)
- 被告の住所が特定できない → 住民票の写しや登記事項証明書で現住所を確保
- 請求の趣旨が曖昧 → 「被告は原告に金480,000円を支払え」のように具体的に
- 管轄違い → 被告の住所地または義務履行地の簡易裁判所を確認
- 添付書類の番号と本文の引用がズレている → 目録と本文の番号を一致させる
証拠書類の整理で後手に回らないために
少額訴訟は原則1回の期日で終わるため、期日までに証拠を揃えて提出しておく必要がある。請求書・契約書・納品書・検収メール・入金履歴(通帳コピーやネットバンキングの画面コピー)などを時系列に並べ、添付書類目録に番号を振る。
メールやLINEのやり取りはスクリーンショットではなく、ヘッダー情報(送信日時・送信者・受信者)が残る形でPDF化しておくと裁判所が確認しやすい。原本を持参し、写しを提出するのが基本だ。
提出方法:窓口持参か郵送か
訴状セットは管轄の簡易裁判所の民事受付へ持参するか、書留郵便で送付する。郵送の場合は切手代が別途かかるほか、到着日が受付日となる。期日指定の希望があるなら持参し、その場で受付印をもらうと安心だ。
受付後、裁判所から第1回期日通知書が原告・被告双方に送達される。少額訴訟なら期日は1回だけの予定で、その場で和解や判決が出ることも多い。
費用の回収見込みと「勝っても取れない」リスク
勝訴しても被告に資力がなければ強制執行(給与差押えや預金差押え)が必要になる。強制執行には別途申立手数料と予納金がかかる。請求前に被告の勤務先や銀行口座が分かっているか、実態を確認しておくと現実的だ。
また、訴訟費用(印紙代・切手代・証拠取得費用など)は勝訴すれば被告に負担させられるが、全額回収できる保証はない。
まずは少額訴訟か通常訴訟かを決める
請求額が60万円以下なら少額訴訟、60万円超〜140万円以下なら通常の簡易裁判所手続きとなる。少額訴訟は1回期日で完結しやすい反面、被告が通常手続きへの移行を申し出れば通常手続きに切り替わる。どちらを選ぶかは請求額と証拠の揃い具合で判断する。
裁判所の案内や手数料額は改正されることがある。最新の額や様式は裁判所ウェブサイトや窓口で確認してから動く。
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提出前に書式を確認する
お住まいの地域の裁判所が求めるものと、準備済みパッケージの内容を確認できます。
よくある質問
収入印紙はどこで買えますか
郵便局の窓口、法務局、一部のコンビニエンスストアで購入できます。訴額に合った額面を1枚ずつ買い、訴状原本の左上に貼って提出します。
予納郵便切手の額が分からないときはどうすればいいですか
管轄の簡易裁判所のウェブサイト「訴訟手続きのご案内」や、民事受付へ電話で確認してください。被告1名あたり3,000〜5,000円程度が目安ですが、裁判所ごとに異なります。
被告の現住所が分からない場合は訴えられませんか
住所が特定できないと送達不能で手続きが進みません。相手が法人なら法人番号検索や登記事項証明書、個人なら内容証明郵便の返送先や共通の知人経由で住所を特定する必要があります。
少額訴訟と通常訴訟のどちらを選べばいいですか
請求額が60万円以下なら少額訴訟、60万円超〜140万円以下なら通常訴訟となります。少額訴訟は1回期日で終わりやすいですが、被告が異議を出せば通常手続きに移行します。証拠が揃っていて早期解決を狙うなら少額訴訟が向きます。
公式情報
- 民事訴訟法 (Civil Procedure Act), articles 133, 368 and 375 2026-10-19
- 民事訴訟規則 (Civil Procedure Rules), article 53 (particulars of a complaint) 2026-10-19
- 裁判所法 (Court Act), articles 33 and 74 (language used in court) 2026-10-19
- 民事訴訟費用法 (Civil Procedure Costs Act): revenue stamps and prepaid postage stamps 2026-10-19
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