- 01訴状には自筆署名と正確な収入印紙を忘れずに貼る。
- 02請求の趣旨は「被告は原告に金〇〇円を支払え」と具体的な金額で書く。
- 03添付書類目録の通し番号と本文の引用番号を一致させてから提出する。
訴状の基本:まず確認すべき5つの書類
先月、都内のIT企業で働く30代のAさんは、月80時間の残業代が未払いのまま退職した。会社側は「管理職だから払わない」と繰り返し、労働基準監督署への相談も進展しなかったため、Aさんは簡易裁判所で残業代未払い請求裁判を起こすことにした。しかし、最初に作成した訴状が収入印紙の不足と署名漏れで受理されず、1ヶ月以上のタイムロスを生んだ。こうした残業代未払い請求裁判の手続きでよくある5つの失敗と、それぞれの具体的な修正方法を整理する。
訴状を提出する前に、裁判所が求める最低限の書類セットを揃える。以下の表は簡易裁判所(少額訴訟・通常の民事事件のいずれでも共通)で必要とされる基本セットだ。
| 書類 | 部数 | 備考 |
|---|---|---|
| 訴状 | 原本1通+被告人数分+裁判所用1通 | 署名必須 |
| 収入印紙 | 訴額に応じた額 | 訴状に貼付 |
| 予納郵便切手 | 裁判所指定額 | 切手の種類は窓口で確認 |
| 当事者目録 | 1通 | 原告・被告の氏名・住所・連絡先 |
| 添付書類目録 | 1通 | 通し番号で整理 |
必要な書類の詳細は「未払い賃金 裁判 自分でする手順と知っておく金額」も参照できる。
失敗1:収入印紙の不足──手数料を正しく貼る
訴額に応じた収入印紙を訴状に貼らなければ、裁判所は受理しない。不足額があると補正命令が出され、追納するまで手続きが止まる。印紙額は民事訴訟費用法の別表で決まるが、改正のたびに変わるため、提出直前に裁判所の案内または「短い手続きガイド」で最新額を確認するのが安全だ。
失敗2:署名欄が空白──自筆署名のルール
訴状の末尾にある署名欄は、原告本人が自筆で書かなければならない。ゴム印や代理人の記名では「署名」とみなされず、補正対象になる。パソコンで作成した訴状を印刷した後、ペンで氏名を書き入れるひと手間を忘れないこと。
失敗3:当事者の住所が特定できない──送達先をどう書くか
被告の住所が不明だと、裁判所からの送達ができず手続きが進まない。住民票や商業登記で現住所を調べ、それでも分からない場合は「送達 住所が不明でも訴訟を進めるための手続きの流れ」で解説されている公示送達や付郵便送達の検討が必要になる。
失敗4:請求の趣旨が曖昧──「金〇〇円」を具体化する
請求の趣旨には「被告は原告に金〇〇円を支払え」のように、求める金額を1円単位まで明記する。「未払い残業代相当額」だけでは補正命令が出る。残業時間×時間単価の計算根拠を請求の原因に示し、趣旨には合計額だけを書く形が標準的だ。
失敗5:添付書類の番号不一致──目録と本文を合わせる
添付書類目録には1から通し番号を振る。訴状本文で「甲第1号証」と引用するなら、目録の1番も同じ書類でなければならない。番号のズレは補正命令の常連原因だ。整理のコツは「証拠 の 出し方:少額訴訟で必要な書類を揃える手順」にまとめられている。
チェックリスト:提出前の最終確認
- 訴状に自筆署名があるか
- 収入印紙の額が訴額に合っているか
- 予納郵便切手の種類・金額が裁判所指定通りか
- 当事者目録に原告・被告の現住所・電話番号が正確か
- 請求の趣旨が「金〇〇円」で具体的か
- 添付書類目録の通し番号と本文の引用番号が一致しているか
- 部数(被告人数+2通)を揃えているか
もし補正命令が来たら──期限内に対応する流れ
補正命令は書面で届く。指定された期限(通常1週間程度)までに不足分を補って再提出すれば、訴状の提出日は最初の受付日に遡る。期限を過ぎると却下される恐れがあるため、郵送ではなく窓口持参か速達で返すのが無難だ。ルールは変わることがあるため、最新の手続きは裁判所の窓口または「未払い請求を裁判所で追及する3つのルートと証拠の選び方」で確認してほしい。
提出前に書式を確認する
お住まいの地域の裁判所が求めるものと、準備済みパッケージの内容を確認できます。
よくある質問
訴状の収入印紙が足りないとどうなりますか?
裁判所から不足額の補正命令が出ます。指定期限までに追加の印紙を納付しないと訴状は受理されません。
署名は印鑑でも大丈夫ですか?
民事訴訟規則では自筆署名が求められます。印鑑だけでは署名とみなされず、補正対象になります。
被告の現住所が分からないときはどうすればよいですか?
住所調査や公示送達の手続きを検討します。詳細は裁判所の窓口や「送達 住所が不明でも訴訟を進めるための手続きの流れ」を参照してください。
裁判所に提出する部数はどうやって決めますか?
被告の人数分に加え、裁判所保管用1通と原告控え1通を用意します。合計は被告人数+2通が目安です。
公式情報
- 民事訴訟法 (Civil Procedure Act), articles 133, 368 and 375 2026-10-19
- 民事訴訟規則 (Civil Procedure Rules), article 53 (particulars of a complaint) 2026-10-19
- 裁判所法 (Court Act), articles 33 and 74 (language used in court) 2026-10-19
- 民事訴訟費用法 (Civil Procedure Costs Act): revenue stamps and prepaid postage stamps 2026-10-19
裁判所の手続きに関する一般的な情報です。法的助言ではなく、弁護士と依頼者の関係を生じるものではありません。規則は変わります。提出前に裁判所の最新の案内を確認してください。